時効は中断していますか?
質問
親戚がお金が必要だというので、11年前に1年後に返してもらう約束で300万円を貸しました。約束の日にお金は返してもらえませんでしたが、相手が親戚でありすぐに必要なお金でもなかったので、返済は猶予していました。今般、私が家を買うことになり、頭金にするために必要になったので貸したお金を返してくれるよう催促しているのですが、どうやら親戚は、返済の約束の日から10年が経つのを待っているようです。私は、行政書士の友人の助言もあって、今年の夏に、内容証明郵便でお金を返すよう請求しています。私が貸したお金は時効にはなりませんよね?
回答
内容証明郵便が親戚の方に到着した日から6か月以内に裁判上の請求などをしなかった場合、消滅時効が完成してしまう(時効になる)可能性があります。
●消滅時効
法律上、貸金などの債権は請求できるとき(本件の場合は、質問者のご親戚が返済をすると約束した日)から、10年で時効消滅する(請求できなくなる)のが原則です(民法167条1項)
●時効の中断
時効は、債権者が請求や、差押えをしたとき、債務者が債務の存在を認めたときには中断し(民法147条)、中断した理由がなくなったときからまた新たに時効期間(通常は10年)が進行します(民法157条1項)
●請求と催告
世間一般的には、お金を貸した人が借りた人に「お金を返せ」と言うことによって、お金を請求したと考えられています。しかし、法律上の時効中断の効力を生じさせるための「請求」がなされたと認められるためには、先ほどの世間一般的な意味での請求だけでは足りず、裁判上の請求などの司法手段が必要となります。
会社の債権管理を担当されている方でも誤解されていることが時々あるのですが、裁判外で相手方に支払うように督促したにすぎない場合には、その方法が期限を定めて内容証明によった場合であっても、法律上は「催告」と評価され、6か月以内に裁判上の請求などをしない限り時効中断の効力は生じません(民法153条)。
●まとめ
質問者の方が内容証明郵便で督促されていたとしても、内容証明郵便が相手方に到達した日から6か月以内に裁判に訴えるなどして裁判上の請求を行わなかった場合には、6か月の間は時効が完成しないという効果しか生じないことになってしまい、6か月経過後には時効が完成してしまう危険性があります。