時間単位の年休は認められますか
質問
当社はありがたいことに業務が増えているのですが、一方で従業員が有給休暇をなかなかとれていない現状があります。業務分担的に考えても通常の休日に加えて一日単位で休暇を取得することは難しいと思われます。そこで、有給休暇の消化を促すために有給休暇を時間単位で使って、休むことを認めようと考えているところです。従業員からも時間単位での有給休暇を使うことを認めてほしいという要望も強いところです。ところが、法律上有給休暇の行使は1日単位でしか認められないという話も聞きました。従業員の希望があって、従業員の便宜にもなるのに、従業員に有給休暇を時間単位で使うことを認めることはできないのでしょうか?
回答
労基法に基づく有給休暇を超えて労働者に与える有給休暇(いわゆる会社年休)については、時間単位で行使を認める制度にすることもできます。しかし、労基法に基づく有給休暇については、労使協定を結び、かつ5日以内の範囲内でのみ、時間単位での有給休暇の取得を認めることができます。
●平成22年労基法改正以前
労働基準法(以下、「労基法」といいます。)39条1項は、有給休暇を付与する最小単位を「労働日」としており、有給休暇は日単位で取ることが原則です。この点、昭和63年の行政解釈が出される以前においては1日単位での有給休暇取得しか認められていませんでしたが、昭和63年の行政解釈で、半日単位で会社が有給休暇を付与することも認められると変更されました。
●平成22年労基法改正
昭和63年の行政解釈によっても半日単位での取得しか認められていなかったのですが、平成22年の労基法改正により、労働協約を結ぶことにより、5日以内の範囲であれば時間単位での有給休暇取得を認めることができるようになりました。
●半日単位での有給休暇取得の上限
労基法に基づく有給休暇であっても、半日単位での有給休暇行使であれば、時間単位の有給休暇制度とは別の、労基法39条1項の原則通りの有給休暇の取得と考えられますので、時間単位での有給休暇取得のような上限(5日)はありません。
ただし、半日単位での有給休暇行使と認められるためには午前か午後の半日である必要があり、1日の途中(例えば、午前11時から午後4時)の有給休暇行使は認められないことに注意が必要です。