追突事故の責任
質問
先日、うちの従業員が会社の車を運転しているときに、追突事故を起こしてしまいました。相手方の保険会社からは追突事故であるから、うちの従業員に10対0で全面的に責任があると言われています。しかし、従業員の話によれば、追突した状況は、赤信号で直進可能の矢印が点灯していたため、前の車が進むだろうと速度を緩めずに交差点に入ろうとしていたところ、前の車が赤信号と勘違いして急ブレーキをかけて交差点の直前で止まろうとしたため追突したということでした。追突しないよう車間をあけておかなかったうちの従業員も悪いのですが、相手の車にも責任があるように思います。こんな場合でも追突したほうが全面的に悪いのでしょうか?
回答
質問者の方の従業員の方のお話を前提とすると、追突された相手方にも一定の責任(過失)があると考えます。したがって、追突してしまった質問者の方の従業員さんだけが全面的に悪いということにはなりません。
●道路交通法24条
巡航速度で運転しているときに何の前触れもなく急ブレーキを踏めば、後ろを走行してくる車に追突される危険性は極めて高度です。そのため、道路交通法24条は、(衝突などの)危険を防止するためにやむを得ない時を除いて急ブレーキをかけることを禁止しています。
●本件の場合
質問者の方の従業員の方のお話を前提とすると、急ブレーキをかけた車は、危険を防止するためというよりも、直進を許す青矢印を見落として赤信号と勘違いして急ブレーキをかけたと考えるのが自然なようです。仮にそうだとすると、急ブレーキをかけた車には道路交通法24条違反の過失があります。
道路交通法24条違反と過失割合
一般的に、追突された車に道路交通法24条違反が認められれば、2割程度の過失が認められます。本件では進行を許す青矢印が点灯していたということですから、追突された車の過失割合は2割からさらに加算されることになると考えます。
●その他の事情
仮に追突した場所が幹線道路であれば追突された車にさらに1割の過失が加算されることになります。なお、本件ではちょっと考えにくいですが、追突した場所が住宅街や商店街であれば反対に追突した車に1割程度過失割合が加算されることになります。