相続人が先に死んだ場合、遺言は守られますか?
質問
私には妻と長男、長女、二男の4人の家族がいます。先日、会社の健康診断で大腸にポリープが発見されました。精密検査を受けた結果、ポリープは良性のものと診断され、家族と共に一安心したところです。ただ、私もいつ死ぬかわからない状況になって、私が死んだ後に家族がもめないように遺言をしておく必要性を感じています。私の財産で大きなものは自宅の土地と建物くらいです。長男は結婚しておらず、長女と二男のところにしか孫はできていません。できれば男の子の孫に私の自宅と土地は守っていってほしいのですが、そうなると男の子の孫がいる二男に自宅の土地と建物を相続してもらうしかないと思っています。ただ、二男はあまり体が強い方ではなく、時々長期の入院をしていることが心配です。自宅の土地と建物は二男に相続させると遺言して、二男が私より先に死んだ場合、遺言はどうなるのでしょうか?
回答
二男の方に土地と建物を相続させると遺言しただけでは、二男の方が質問者の方より先に亡くなってしまった場合、少なくとも土地と建物に関する遺言の効力は無効となります。
代襲相続
相続開始の時点(被相続人が死亡した時点)で、相続人である子どもが死亡しており、死亡した相続人に子ども(被相続人から見れば孫)がいる場合、孫は被相続人の財産を相続します(民法887条2項)。これを代襲相続と言います。
判例
実は、今回のご質問のようなケース(遺言で相続する者と指定されていた相続人が被相続人よりも先に亡くなった場合に相続人の子どもが遺言によって代襲相続することが認められるか)で実務の取扱いは、最近まで確定していませんでした。そのような状況で、最判平成23年2月22日は、遺言で財産を相続する者と指定されていた相続人が被相続人よりも先に死亡した場合には、相続人の子どもに当該財産を相続させるというのが被相続人の意思であったとわかるような事情がない限り、遺言は無効となるとの判断を示しました。
まとめ
質問者の方が、二男の男の子どもさん(お孫さん)に自宅の土地と建物を相続させたいとお考えであれば、二男の方が質問者の方よりも先に亡くなった場合には、二男の男の子どもさんに相続させるという内容をきちんと遺言に書いておくべきです。