報告が必要ですか?
質問
うちの会社には肥料を製造する工場があるのですが、先日、工場で働いている従業員同士のけんかが工場内であり、従業員1人が骨折する怪我を負ってしまいました。喧嘩した従業員同士は元々折り合いが悪かったようで過去にもちょこちょことした揉め事はあったようです。今回、就業時間中に揉め事が大きくなって結果的に1人が骨折して入院するような事件が起きてしまいました。これは労災として、所轄の労働基準監督署に届け出るべきなのでしょうか?
回答
所轄の労働基準監督署長に対する届け出(労働者死傷病報告)をされるべきと考えます。
●労働者死傷病報告
事業主は、労働者が労働災害、就業中または事業所内において、負傷、窒息または中毒によって死亡または休業した場合に所定の様式に従って、労働基準監督署長宛ての報告(労働者死傷病報告)をすることが義務付けられています(労働安全衛生法100条1項、労働安全衛生法施行規則97条)。これを怠ると50万円以下の罰金の制裁があります(労働安全衛生法120条5号)。
●労災と労働者死傷病報告
時々誤解されている場合があるのですが、労働者死傷病報告は、業務上の災害に該当する場合に限らず必要とされています。
具体的には労働災害(業務上の災害)により、死亡し、又は休業したときに加えて、①就業中②事業場内若しくはその付属建設物内で③負傷等により死亡し、又は休業したときには労働者死傷病報告を労働基準監督署長に提出する必要があります。
●労働者死傷病報告の要否
本件の場合、就業時間中に骨折した従業員の方は入院されているということですので、欠勤されているものと考えます。したがって、就業中の負傷により、休業したときに該当するため、労働者死傷病報告が必要です。
●まとめ
入院された従業員の休業日数が4日を越えるときは、直ちに、4日を越えないときは、四半期に1度まとめて労働基準監督署長に対して労働者死傷病報告をしてください(労働安全衛生法施行規則97条)。なお、労働安全衛生法の「労働災害」は業務起因性のあるものに限られます。したがって、通勤災害の場合には原則として報告の必要はありません。ただし、出勤あるいは帰宅途中の事故の場合でも、業務上の災害になることがあるので注意が必要です。